コールセンターの就労人口が、推定90万人超とも言われているのをご存知ですか?
しかし意外にも、その仕事内容は世間に知られていません。
といのも、日常生活の中でコールセンターに電話をすることはあっても、なかなかオペレーターが就業している姿を目にする機会というのはないからです。
今回は、実際のところオペレーターがどのような業務を行っているのかをポイント別にご紹介していきます。
目次
コールセンターには、2つのタイプがある
インバウンド(受信業務)とアウトバウンド(発信業務)
一般にコールセンターと呼ばれる事業には二つの種類があります。インバウンド(受信業務)とアウトバウンド(発信業務)です。
その名の通り、インバウンドとはお客様がかけてきた電話の対応を行います。お問い合わせやお申込みの受付が主な内容で、いわゆる受け身対応とも呼ばれます。
一方アウトバウンドは、オペレーターからお客様に電話を架けます。新商品の売り込みなどを行うため、「営業電話」と呼ばれることもあります。
両者で求められるスキルや、業務に必要な設備も異なるため、募集求人ははっきり分けられています。
ちなみに、求人割合としては、「インバウンド」が約80%、「アウトバウンド」が約20%を占めています。
これは、アウトバウンドに比べ、インバウンドの方が窓口の種類が多いといことに起因しています。
一つの企業の問い合わせ窓口といっても、いざ電話を架けてみると、問い合わせ内容に合わせて電話機のダイヤルを押すような仕組みになっています。そしてそのダイヤルで選ぶ数だけ、応答用のデスクも用意されているのです。
インバウンドの仕事内容
インバウンドのコールセンターというのは、先ほどもお伝えした通り、受付や問い合わせへの応答が主な業務内容になります。
大別すると、①商品やサービスの概要説明や、料金相談、②操作案内や故障時の相談というのがほとんどです。
アウトバウンドと比べると、応対効率やお客様アンケートで帰ってくる内容が非常に重要視される傾向にあります。またその結果が細かく時給に反映されるので、頑張りに応じて給与の上がり下がりが大きいのも特徴です。
インバウンドのコールセンターの中では、例外として、リテンション窓口だけは少し特殊です。
リテンション窓口というのは解約を希望するお客様から連絡があった際に、そのサービスのメリットを訴求することで、解約を思いとどまってもらうことを目的とします。他のインバウンド窓口がお客様からの要望に応じて受付や説明を行う業務であるなら、リテンション窓口というのはお客様に本来の要望とは反対の意思決定をしてもらうことが使命なのです。
当然、難易度は高いです。その分、解約阻止に成功したら、その件数に応じてインセンティブ報酬が発生したりするなど、好待遇の求人が多いです。
アウトバウンドの仕事内容
先ほど、アウトバウンドとは、「営業電話」とも呼ばれるとお伝えしましたが、実は必ずしもそうとは限りません。
アウトバウンドには、いわゆる「テレアポ(テレフォンアポインター)」と「テレマ(テレマーケティング)」と呼ばれる2つの業務があります。
テレアポは、いわゆる営業系の業務です。顧客リストを端から架電していき、興味のある方に取り扱っている商品やサービスの購入・契約を提案します。
過程よりも結果を重要視する傾向を持つため、やはり成約件数が最も重要な指標として扱われます。そして成約件数に応じてインセンティブ報酬が出る場合もあります。
一方でテレマというのは、市場調査を目的とします。
例えば、自社製品を購入したお客様に数日後や数カ月後に連絡をして、困っていることや、使いづらいと感じる部分はないかなどをヒアリングするというような業務です。
中には、お客様の申告状況に応じて、付属品や追加のサービスの購入提案をすることもあります。こちらも成果によってインセンティブ報酬が発生することがあります。
他業種に比べ、仕事内容に関する研修制度が充実
いずれの業務にせよ、コールセンターというのは、求人票に特別記載がない限り、未経験者の入社を前提とします。
中には、保険や金融関連の資格が必要であったり、一定の英語力を示すライセンスが求められる場合もありますが、そういった求人は全体で見ると稀です。
というのも、コールセンターという事業形態自体が、大量のオペレーターを必要とするため、そんなにたくさんの経験者や有資格者を、派遣社員やアルバイト契約で雇用することは現実的に不可能だからです。
そのため、未経験、資格無し、年齢学歴不問で、円滑なコミュニケーション能力を持っている応募者のみを最低限選別して入社させ、徹底した研修制度によってオペレーターデビューさせていくというビジネスモデルを採用しています。
研修内容は、インバウンド、アウトバウンドによっても異なりますが、一週間から2ヶ月ほどというのが相場です。
特にインバウンドのオペレーターというのは、商品知識を必要とするため、アウトバウンドに比べて研修期間は長期間にわたります。
研修過程は座学研修でサービスや商品の知識を講義形式で学び、その後でOJTといって実際に電話対応を行いながら細かいテクニックや流れを覚えていきます。
また、インバウンドの場合は、研修の最後に習熟度チェックのテストがあり、一定期間内にこれに合格しないと、次回契約更新がなされないということがあるため、注意が必要です。
コールセンターに高時給求人が多い理由
コールセンターは他業種に比べ、時給が高額です。
東京の都心部であれば、未経験歓迎、年齢学歴不問のインバウンド求人で、時給1700円以上がゴロゴロしています。
はっきり言って、これほどの好待遇案件は、他業種ではなかなかないでしょう。
なぜなら、これもコールセンターが持つそもそものビジネスモデルに起因しています。
コールセンターは非常に数多くのオペレーターを必要とするため、とにかく一般の求人一覧の中で目立たなければなりません。何か資格が活かせるとか、業務自体に付加価値があればいいのですが、残念ながら転職市においてコールセンターの需要というのは、今のところ時給の高さのみであるため、各社で競うようにして給与水準の吊り上げが行われているのです。需要と供給のバランスです。
またもう一つの理由としては、コールセンターが抱える研修費用の問題があります。
コールセンターの研修というのは、非常に長く、最大で2ヶ月ほどあります。この間、例えば研修時時給1,500円だとしても、一人当たり合計で50万円以上の予算を必要とします。
つまり、時給を多少高額にしてでも、とにかくオペレーターの離職率を下げたいというのがコールセンター側の本音なのです。オペレーターが退職して、また採用しないといけなくなると、それだけで自動的に50万円の出費が発生したようなものなのです。さらに研修中に退職してしまった人員まで計算に入れると……。
このようにコールセンターというのは、運営投資費用が非常に高額化するため、ある種のリスクヘッジとして、オペレーターの時給を高額化させているという側面があるのです。
よく「クレーム対応が辛いから、その分の手当だ」など、まことしやかな噂を聞くことがありますが、たとえそういった一面があるにせよ、それはあくまで一部に過ぎません。
高額時給の背景としては、実はコールセンターの本質的なビジネスモデルに準拠したところが最も大きいというのが真実であると言えます。
コールセンターはシフト制?
コールセンター求人を見ていると、表題に「嬉しいシフト制!」と掲載されているものが目につきます。
中には、「え、コールセンターって全部シフト制じゃないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。そうです。実はコールセンターは、シフト制のデスクと、シフト制ではないデスクが存在します。
求人票の記載があいまいな場合の見分け方は簡単です。
そのコールセンターが運営する窓口の営業時間を見て、年中無休で営業しているならシフト制です。
土日祝が休みなら、非シフト制です。
シフト制のコールセンターのデスクの方が規模が大きく、非シフト制のコールセンターのデスクほど規模が小さい傾向にあります。
規模によっても大きく異なる就業環境!
コールセンターの規模というのは意外と語られることが少ないように思いますが、仕事内容や就業環境を語るうえでは、非常に重要な観点です。一つのコールセンターのデスクにどれくらいのオペレーターが勤務しているかということです。
実はその規模は小さいものから大きいものまで様々です。最も規模の小さなデスクでは10名以下、最大規模で数百名にまでのぼります。
大きいデスクほど、同じオペレーター業務を行う人間も多く、煩わしい人間関係に巻き込まれにくいです。というより、人数が多すぎて多少の欠勤や遅刻では、他のオペレーターがしわ寄せを受けるということがないため、かなり気楽に働けると言って良いでしょう。
一方で小さなデスクというのは、いわゆるオフィス系の事務仕事と似ています。
要員が少ないということは、入電件数もそこまで多くないため、電話が来ない間は事務作業をしていたり、アメニティ関連も全員に行き渡りやすく、アットホームな環境になりやすいです。
また数人規模で運営しているようなデスクであれば、欠員が出てもすぐに埋まるため、残業や休日出勤の要請があまりないというメリットもあります。
コールセンター内でのキャリアアップ
コールセンターというのは、大人数の所帯であるため、内部からのからの管理者登用の数も必然的に多くなります。
普通はオペレーターで入社して、早くて1年ほどでサポート専任のスタッフとして登用され、その後数値分析などをメイン業務とするSV(スーパー・ヴァイザー)としての登用を受けます。SVになるとたいてい正社員です。
まとめ)コールセンターで働くうえでのメリットを考える
いかがでしたでしょうか?
大切なのは、コールセンターで働くうえでのメリットが自分が求めていたものだったかどうかを考えてみるのが重要です。
例えば、シフト制の職場でなるべく高い時給で働きたかったというのであれば、大規模コールセンターはぴったりです。派遣担当者にコールセンターの規模を確認して求人応募すればいいのです。