仕事のストレス、それは精神衛生上における目には見えないウイルスです。
しかしながらコールセンターというのは、対人コミュニケーションに特化した接客業という側面をもっているため、やはり就業を続けていくうえでは、ストレスから避けて通ることはできません。
オペレーターもまた人間です。辛く当たられたり、自分が精神的に追い込まれるているように感じてしまうと、どうしてもメンタル面において変化は現れます。
しかし退職理由として、「ストレスによるもの」が圧倒的に多いかというと、実は必ずしもそうではありません。
他業種と比べて時給が高い分、貯金ができた時点で退職を選ぶ方や、短期的に稼いで学業に戻る学生の方、また身につけた応対スキルを活かして正社員転職するという場合も多くあり、コールセンター=ストレスというのは、いくらかの誤解を含んでいると言えます。
だからこそコールセンターとストレスの関係性について理解することができば、少しでも効率よく稼いだり、安定した長期就業を可能にしてくれます。
つまり、ストレスを感じる原因とその対処法、あるいはストレスを感じにくい人の特徴を知ることで、その受け取り方はずいぶん変わるということです。
目次
コールセンターでストレスを感じるのはこんな場面
配属前の研修時にストレスを感じる
配属前の研修期間は、アウトバウンドで二週間から一か月程度、インバウンドで一か月から二か月程度です。
もちろん、最初から最後まで座学で授業を受けるわけではないですが、それでも講習が不得手な方には苦痛に感じることがあります。
運転免許の更新時に受ける講習とは違い、今後自分が新しく就く業務の話とはわかっていても、座って一対多数の形式にどうしても集中できないということのようです。
中にはこの座学研修中に嫌になって辞めてしまうという方もいます。
しかし、どうせ内容が頭に入っていても入っていなくても、お金が発生するのだから、座って我慢していればいいのに……、というのはあまりに個人的な考え方なのかもしれません。
ちなみに、座学研修がどうしても好きになれなくても、そのあとでOJT研修など複数のステップがあるので、完璧な形で講習を受けていなくとも、たいてい後で取り返しはつきます。
クレーム対応中にストレスを感じる
インバウンド業務の場合、特別求人に明記されていない限り、ほぼ確実にクレーム対応は存在します。もちろん中には例外もあるかもしれませんが、あくまで特殊な例外です。
お客様ももちろん、そのオペレーターを責めるために電話をしているわけではなく、その会社の商品やサービスについて不安や不満があってのことですが、つい感情的になってしまいオペレーターに辛く当たってしまうということも実際にはあります。
また責任感が強い方というのも、すべてを自分で背負い込もうとして、プレッシャーを感じてしまうということもあります。
意外かもしれませんが、同じタイミングで同じ研修を受けて着台しても、クレームになりやすい人とそうでない人がいるのは、話の上手い下手だけが理由ではありません。
オペレーター経験の浅い人のクレーム応対比率は、トーク・スキルよりも対応スタンスに依存します。
つまり、マニュアルで必要とされている以上に、お願いやご希望を引き受けてしまうと、お客様としてもつい要求が過剰になったり、過去の不満が噴出してしまうということにつながってしまうのです。
あくまで仕事としてオペレーターをやっているわけですから、ある程度の割り切りと、自身で対応が難しいと判断した場合は、迅速にクレーム担当者に引き継ぎの相談をすることが望ましいということです。
アウトバウンドのノルマ
営業や提案が業務の一部に含まれている仕事すべてに言えることかもしれませんが、やはり決められた目標が達成できないことが続くと、精神的に追い込まれていくことがあります。
もちろん目標に到達できないという理由だけで解雇されるわけではないですが、極度に苦手意識を持っている場合は、別商材を取り扱うコールセンターへの転職を検討してみるのもいいかもしれません。
ただし、目標値の達成に厳しい環境を設けている職場ほど、インセンティブ制度なども充実している傾向にあるため、それらを天秤にかけたうえで、別天地で再スタートか、現状打破を目指すかは十分考えた方が良いでしょう。
ストレスを緩和させる方法とは?
シフト制で休みの調整
座学研修中に関してはどうしようもない場合がありますが、通常業務におけるストレスが辛い場合は、シフト制度の職場を選び、適度な間隔で休日を入れるように調節してみると身体の心のバランスを整えやすいと言われています。
もし何か趣味を持っている場合は、定期的に連休を取って、趣味に没頭する時間を確保するのも良いかもしれません。
職場の人間関係
人間はコミュニケーションの生き物です。
職場に中の良い同僚ができれば、休憩時間中や仕事終わり、休日等にご飯を一緒に食べたり、飲みに行ってリラックスすることで大きなストレス解消効果を生み出せます。
特に大人になってしまうと、同年代と仲良くなれる環境というのは減ってしまうため、コールセンターのような大人数が集まるところで、自分と歳の近い同僚と仲良くなれる機会を使わないのはむしろもったいないとさえ言えるのではないでしょうか。
お気に入りのドリンクを持っていく
コールセンターで働く一つのメリットが、好きなときに飲み物を口に含めるということだと思います。飲食店や工場勤務などでは、なかなかそうもいきません。
だからこそ、ペットボトルでも、水筒に自分で入れてくるのでもいいので、リラックスできる飲み物を持っていくことをおすすめします。
迷った場合は、緑茶がいいかもしれません。緑茶に含まれている「テアニン」には、脳をリラックスさせる効果があり、コーヒーを飲むよりも人間の心に落ち着きをもたらすと言われています。
就業先によっては、給湯器やポットがアメニティとして用意されているところもあるため、自分で水筒を持参し、いろんな緑茶を毎日試してみるというのも面白く、仕事が嫌になりにくくなるでしょう。
コールセンターでストレスを感じにくい人
働く理由や、目標設定がしっかりしている人
勤務時間固定希望とか、トーク・スキルを磨きたいとか、辞めるまでの目標貯金額が決まっているとか、コールセンターで働く理由を明確化させている人は、どちらかというとストレスを感じにくい傾向にあります。
コールセンターという職場は、非対面型のサービス業で、平均給与水準が高く、短時間就業可能であることが多く、同僚在籍人数も多いという、特徴を持った仕事です。
そして特徴があるということは、そこにはメリットもあれば、デメリットもあります。どのように捉えるかは人それぞれですが、自分の目的に合わせたメリットを選択肢、結果として人生を豊かにしている人がいるのも事実です。
自分の中にある優先順位や、目的、目標をあらためて顕在化させ、コールセンターで働き続けることが有益ではないと判断されるなら、転職を考えるべきです。
むしろ、消極的な理由であれ、残る方が良い、あるいは「まし」と考えられるのであれば、それを自分の中で明確化させることで、少なくともコールセンターから受けるストレスは減少していくでしょう。
長電話が好きな人や、そもそも対人コミュニケーションをすることが好きな人
脳科学的には、右脳が発達している人はコミュニケーション上手とする見解もありますが、「おしゃべり」好きな方は、コールセンターのオペレーター業務をあまり苦にしないようです。
仕事と割り切ってしまえる人
一日8時間、座って話してさえいれば、ほぼパフォーマンスに関わらず給料がもらえるので……というように、割り切っている場合も当然と言えば当然かもしれませんが、あまりストレスは感じないようです。
非常に消極的な理由ですし、誰もが真似できるやり方でもないかもしれません。
ただ本業が別にあったり、家庭内に別の収入源がある方には有効なようです。
まとめ)自分の求めるものと、職場が与えてくれる対価が合致しているかが重要
自身の理想と現実が合致していない場合にストレスというのは生まれ得ます。こういったストレスというのは、なかなか気づきにくいものでえす。
少しでもそういった、なぜかいらいらするという状況を回避するには、常に自分の求めるものと、職場が与えてくれるものが合致するかどうかを検証することが重要と言えるでしょう。