新しい職場というのは、ストレスの宝庫です。
就業先を見つけても、ごく短期間のうちに辞めたい気持ちを抱えるということは山ほどあるでしょう。
コールセンターでもそれは同様で、例えばまだ3ヶ月しか経っていないのに「派遣元の担当者が勧めてくれていた別のデスクに就業していたら、今頃こんな思いはしなくて済んだのでは……?」とふとした瞬間に頭をよぎったりします。
もちろん誰にでもあるわけではないかもしれませんが、もし自分にも心当たりがあるなら、一度は立ち止まって考えてみることをおすすめします。
ただし、そうは言っても悩みごとというのは、その渦中にいる間はなかなか自分で整理をつけられないというのもまた事実です。
今回は、初心者の方が自分の頭にあるぼんやりとした不安を原因別に切り分けられるように、開始数ヶ月のオペレーターが躓きやすいポイントとその解決法4つを紹介していきます。
目次
コールセンター経験たったの3ヶ月なのに、クレームが多すぎて……
クレームが多い
特にインバウンド業務に携わっている場合、避けられないのがクレーム対応です。
商品があるなら、そこには必ずクレームが存在します。
届いた商品が壊れていた、あるいはすぐに壊れた、請求書に説明を受けていない料金が含まれている、修理費用に納得がいかない、店舗の対応が気に入らなかった等、本当によくそんなことでわざわざ連絡してくることがあるのか、と驚くほどの種類豊富さです。
明らかにどうしようもない話であったり、ただ苦言を聞いてもらいたいだけ、というような場合であれば、お詫びを繰り返しているうちに終わっていくこともありますが、中にはそれだけでは済まないこともあります。
例えば、お客様が説明をお求めになるパターンです。
お客様の勘違いによってサービスに不合理が生じてしまっていたり、お客様の不手際によってお客様に不利益が発生しているような場合ですね。
こういった際には、まずは冷静にお話を拝聴し、その後できちんと筋道立てて状況を説明したうえで代替案の提示を行うというのが王道になっています。
中には、いちオペレーターには代替え案など与えない、というような強気のデスクもありますが、どんな場合でも企業の窓口担当者として「上申約束」をすることだけは可能です。
「今すぐどうにかするということはできませんが、お客様の気持ちは人間心情として十分に理解することはできます。今後サービス改善に繋げられるよう担当部署にご意見があったことを報告いたします」というような形でまとめられるのが理想でしょう。
解決策
クレーム解決における基本の型は、①感情処理、②事象説明、③代替案提示です。
上級者ほどこの形から大きくはみ出ることなく、スムーズに話を進めていくことができる傾向にありますが、経験3ヶ月でこれらを求めるのは、さすがに無理があるというものです。
一般的には、クレーム専任担当が在籍しているはずなので、自分で対応するのが難しいと判断した場合はすみやかに相談するのがいいでしょう。
もちろん、中にはクレーム担当者が手一杯で、すぐに対応引き継ぎすることができないこともあるかもしれません。
その場合は、落ち着いて、まずは自分が責められているわけではないと言い聞かせながら、お客様の主張や非難に同調することが一番です。
私自身も、複数のデスクでクレーム対応をしたことがありますが、すぐに対応引き継ぎをして状況が把握できず困ったときや、あまりにお話の上手なお客様との応対になった場合は、とにかく拝聴しながら、同調、共感しつつ機会を伺って適切な説明を行うことを一つのセオリーにしていました。無理に訂正したりしようものなら、炎上してしまうことも少なくはないからです。
ただし何にでも、同調、共感していては、信用を失ってしまうため、あくまでお客様の気持ちに焦点を絞って行います。
そういったお気持ちにさせてしまったこと、わざわざ電話をかけて指摘せざるを得なかった経緯、ご不便をおかけしている事実、ご迷惑をおかけすることになった具体的な不備、またお時間を頂いてしまっている点など、一旦コツを掴んでしまえばこういったポイントはいくらでも見つけられるようになります。
そしてできるなら、最後に上司やクレーム対応ができる者から改めて折り返し連絡を行うこと約束をして終えられれば100点でしょう。
待っていれば、誰かしら手が空いた人間が引き取ってくれるという仕組み自体はあると思いますが、その人が空くのを待ってただ時間稼ぎをするだけ、というマインドになってしまうとどうしても自分自身が辛くなってきてしまいます。
覚えることが多すぎて……
商品、サービスが幅広い
商品によっては非常に多岐にわたる仕様や、料金体系、または膨大な関連商品が存在しています。
そしてお客様は自分の聞きたいことを脈絡なくピンポイントに質問するものです。経緯であったり、周辺状況から聞き出すことができれば、回答を導き出せるものの、そこだけを抽出して聞かれてもなかなかわからないことも多い……、というのが本音でしょう。
こういった状況は本来、オペレーター個人の記憶力云々の問題ではありません。というのも、その原因としては、お客様がコールセンター一般に求める機能性と、デスクが用意している研修制度の乖離具合から生まれているものだからです。
お客様としては「自社製品の説明や販売手続きの専門窓口なのだから何でもすぐに答えられて当然」という考えです。
しかしながら、企業やデスク側としては「派遣社員や契約社員、あるいはアルバイトのスタッフを集めて、たったの数週間なり数ヶ月で業務にあたらせないことには採算が取れず、仕方なく完璧な状態ではないことをわかっていて一人立ちさせている」といった背景があるのです。
そもそもオペレーターとして完璧にするには、半年から一年以上必要です。
そういった矛盾の中、ある意味必要に迫られて、「完璧な状態で送り出すのではなく、困ったときの解決力をなるべく高めて業務にあたらせる」という方向に研修時の舵を切っていると言えます。
解決策
わからない、知らなかったという状況は幾度も経験することになるのですが、これは開き直ってしまってもいいのではないでしょうか。
もちろん、お客様に対して逆切れするのを推奨するわけではありませんが、一旦知識不足に対して頭を抱えてしまうと、辛くなるのは自分自身です。
企業側も完璧な状態を求めているわけではないので、わからないことは都度調べる、あるいは社内担当者に確認するというのを恥じたり、恐縮する必要はないと自分に言い聞かせてみるのがいいでしょう。
対応のスタンスとしても、お問い合わせに対して即答することをオペレーター業務の完成形としてイメージするのではなく、スマートに確認できるようになることを目指しましょう。
未経験なのに、すぐに成績を求められすぎて……
デスク側が求めるレベルが最初から高すぎる
これは入社時期によって新商品のリリースがあったり、決算時期が近かったり、要因規模が急増したりするような場合に起こり得ます。
本音を言えば即戦力を募集したかったものの、実際にはそれほど集まらず、未経験者を入社させると、それでも実績を落とすわけにはいかないという板挟みになってしまうようなことがあるのです。
もちろんそんなことを聞かされずに入ったオペレーター側としては、文句の一つも言いたくはなりますが、なかなか聞き入れてもらえるということはないかもしれません。
解決策
一般的には、アウトバウンドであれば成約数、インバウンドであれば時間当たりの応答件数、顧客満足度アンケート、提案実績数という三点が主だった指標です。
これらの実績を既存オペレーターと同じように取れる魔法のような方法があるかと言えば、当然ありません。
もちろんデスク側もそれを承知で求めてくるのだと思うので、私であればなるべく頻繁に自分自身の進捗実績を上司に確認し、目標値との乖離具合を意識することで、目標達成を目指している姿勢を示すことを考えます。
そしてそれでも頭ごなしに、数字のことばかりを前提に置いた指摘をしてくるようであれば、さすがに別の就業先を探すのが得策かもしれません……。
管理者との相性が悪くて……
まともな管理者が在籍しておらず、質疑応答がこころもとない
お問い合わせ内容を自身の力で調べきれない場合、デスクは質疑体制を用意してくれいていると思います。中には、「エスカレーション(または略してエスカレ)」と業界用語で呼ぶデスクもあるかもしれません。
しかし中には、初心者と知ってか知らずか、質問に質問で返してきたり、要領を得ない回答ばかりで、お世辞にもあまり役に立つとは言い難いということもあるでしょう。
あるいは、ヒアリング情報が不十分で、もっと状況把握をしてから改めて質疑するようにという指示を受けることもあったりします。
せっかくお客様に保留時間をもらって確認しているのに、お客様が聞きたいことを十分に用意できずに、電話機の保留を解除するときほど憂鬱な瞬間はないですよね。
かといって、社内の人間関係等、複雑な事情を考えると、わざわざ別の人に改めて同じ質問をしに行くのもはばかられるものです。
解決策
これは相性の問題もあります。
コールセンターでは、たいてい質疑担当の人間も契約社員であったりするため、自分でも受電業務をしているか、またはしていたはずです。
彼らがお客様から質問を受けた際に、どのような切り口で考えるかによって、答えられる問題とそうでない問題があるのも事実です。
とはいえ、追加ヒアリングをするようにだけ指示して立ち去ってしまうようなことをしているのであれば、さすがに不親切のそしりを受けるのも仕方ないかもしれません。
オペレーターが質疑する相手を選べる職場であれば、上手く自分との相性がいい人を選べば済む話ですが、そうでない職場の場合は、質疑をするまでの情報集めと、質疑の仕方が死活問題になります。
まず、お客様にヒアリングをする際には、経緯と背景を確認することが重要です。
どのような経緯でその問題が発生しているのか、あるいは、どういった背景で今回の電話問い合わせに至ったのかということです。
そして次に、「真のニーズ」の把握です。
なぜその情報を知りたいのか、ということですね。経緯や背景を確認した段階で判明することも多いですが、この「真のニーズ」がわからなければ、保留で質疑をしたところで、また新たな質問によって保留の繰り返しになってしまうような場合もあります。
お客様が電話をするに至った本当の理由を確認し、これを解決するにあたって必要な情報を集めるということがそもそも本来の意味における解決であるため、ここを解消するための質疑であれば、比較的オペレーター側の意図も質疑担当者にスムーズに伝わりやすいでしょう。
続いて質疑の仕方についてですが、これは「結論」から話すことを意識すべきです。
お客様から聞いた話をそのままの順番でスートーリー形式に話すと、質疑担当者としてもどのポイントが重要で、どこに意識を傾ければいいのかがわかりにくいということがあります。結果的にそれが起因となって、早とちりしてしまったり、要領を得ない回答になってしまうことがあります。
最初の時点で、結論として何が聞きたいのか、あるいは何がわからないのかを提示した上で、必要に応じて話の経緯を伝えるというのが、質疑で失敗しにくい確認方法です。
まとめ)どうしても辛いなら、無理をするより、別の勤務先を探すこと!
以上が「コールセンターを始めて3ヶ月で辞めたくなるパターン4選!」でしたが、いかがでしたでしょうか?
いずれも、根本的な問題としてすぐに実践するのが難しかったり、自分の考えや、実際のデスクの状況と合致しないということもあるかもしれません。
そういった際は、一人で思い悩むのではなく、できれば同期入社の顔見知りに聞いてみたり、それでも解決しない場合は、デスクに就業している正社員に相談することをおすすめします。
何を言っても、入社3ヶ月で完璧に業務をこなすということはできません。
まして研修期間を含めれば、実際の稼働日数としては、2ヶ月もない場合がほとんどでしょう。
そしてどうしても今の就業先で続けていくことが困難であれば、転職を考えてみるのもいいでしょう。
メンタルヘルス的には、一ヶ月以上にわたって、自分が辛いと感じる業務を継続していると、うつ病などの精神疾患を発症してしまう可能性が高まります。
自分の身体を考えて、最適な選択をすることが最も重要です。
ちなみに、もし次に仕事を探したいのなら、すぐに見つかりやすく、また比較的時給も高い派遣社員でのオフィスワークがおすすめです。
コールセンターほど、覚えることは多くなく、時給も程よく高い傾向にあります。ただ、現在すでに派遣社員として就業中なら、同じ派遣会社から別の就業先を紹介してもらえることはないので、派遣会社の乗り換えが必要になります。
派遣会社もたくさんあり、選ぶのが大変ですが、ひとまずは最大手でオフィス系求人を数多く抱えている「テンプスタッフ」に登録しておけば間違い無いです。
もしいまも、コールセンターの研修のことで悩んでいるのであれば、登録して候補の絞り込みだけでもしておいて損はないでしょう。少なくとも、心の安定と未来への展望は生まれます。