コールセンターでの就業は、社外の人間と会う機会が少ないため、業界特有の専門用語が使われやすい傾向にあります。
だからこそ、一度はどこかできちんとした意味を覚えておかないと、長く就業していても、意外と曖昧な使い方しかできないままだったりします。
特に、アルファベット3文字の略語って、ぱっとすぐに意味を思い出せますか?
使いどころだけ覚えているというパターンが実は一番多いのかもしれません。
いわゆる「うろ覚え」です。
社会人がライバルと一歩差をつけられる最も確実な方法の一つは、空き時間に業界の知識補填をしているかどうかです。
たかが2分で身につけられる知識ではあっても、されど知識を身につけたことには変わりありません。
ぜひ、この機会にあなたも明日から後輩に教えられるよう、最低限の専門用語をマスターしておくことを強くおすすめします!
それでは今回は、超頻出のものを10選でご紹介していきたいと思います。
エスカレーション
まず最初は、「エスカレーション」です。
略称として、「エスカレ」、「エスカ」といった使い方をするデスクもあったり、会社によってはそもそも日本語で「質疑」と呼ぶところもあります。。
これは、自分より上位の者、つまり上司に判断を仰いだり、応対方針の相談をすることを指します。
オペレーターの場合、主にはSVやLDに、質問をするときにのみ使う単語でしょう。
相談とか判断とか、そんなに大したものではなく、たいていただ「業務に関しての質問」くらいの意味で使用されています。
「迷ったり、困ることがあれば、すぐにエスカレーションをして下さい」と管理者はオペレーターに対して指示したりします。
CB
CBとは「Call Back(コール・バック)」の略語として使われています。
いわゆる「折り返し連絡」の英語表現を、そのまま輸入してきたものですね。
お客様から架かってきた電話を何らかの事情で一旦切ってもらって、こちらから架け直すことを指します。
コールセンター産業というのは、もともとアメリカに起源を持っているため、その業務用語にも、多くの英語表現が用いられます。
SV
「Supervisor」の略で、英語本来の意味としては、「上司」、「上役」といいう単語です。
コールセンター業界では、デスクによって定義が若干異なることもありますが、多くの場合オペレーターを取りまとめる業務を担う役職を指して「SV」と呼びます。
またコールセンター業界では、就労人口の大半を非正規雇用が占めているのが現実ですが、「SV」職以上になると正社員になるというのが一般的です。
LD
「Leader」の略語です。
これはコールセンター業界特有の役職で、主にはオペレーターが対応し切れないようなクレーム案件の応対をこなしたり、エスカレーションが上がったときに対応することを主な業務とします。
コールセンターのデスク内役職としては、一般求人数が最も少なく、自社オペレーターからの登用が中心です。
非正規雇用のオペレーターとしてコールセンターに入社したなら、まず最初に目指すべきは「LD」職になります。
クレーム対応スキルが身につくため、その後のキャリアップとしてSVを選ばなくとも、転職市場においてはその経験が活きやすいです。
モニタリング
半ば和製英語になりつつありますが、コールセンター業界においては、一般とは異なる意味で使います。
原義の「観察する」という意味から派生して、「音源を確認する」という用い方をします。
音源というのは、「録音した顧客対応の音声データ」ということです。
録音データを後から聞いて、そのオペレーターの評価を行ったり、対応内容がひどいときはフィードバック時の材料にします。
ちなみに、「リアルタイム・モニタリング」、「サイド・バイ・サイド・モニタリング」といって、オペレーターの隣に座ったり、離れた席から遠隔リモートで対応内容を聞く方法もあります。
アウトバウンド(発信系)のコールセンターでは、常にリアルタイム・モニタリングでオペレーターの状況を把握し、成約数が低いときには、積極的にLDやSVが成約に繋がりそうな応対を巻き取って、実績を底上げするような施策を行うことが多いです。
CPH
「Call Per Hour」の略で、「オペレーター一人の時間当たりにおける平均応答呼数」を指さします。
分かりづらい指標の一つですが、簡単に言うと、いわゆる「効率」や「生産性」を現します。
例えば、こういうこと
1時間に平均5件の顧客対応を行うオペレーターのCPHは5,0です。
2時間に平均12件なら、CPHは6,0ということですね。
オペレーターの説明能力や、コミュニケーション能力によって大きく上下するものですが、実はそれだけではなく、マニュアル自体の網羅性であったり、デスクのフォロー環境によるところも非常に大きい指標です。
ACW
「After Call Work」の略で、いわゆる「後処理作業時間」のことです。
英語の意味としても、電話の後の作業ですね。
コールセンターのオペレーター業務というのは、当然電話を取ることですが、その電話応対が終わった後には必ず履歴入力の時間が発生します。
どういう案内をして、どういった結果になったかということを、次に対応するオペレーターのために記録しておかなければならないからです。
また、オペレーターの業務習熟度にあまり影響されない指標であるため、新人オペレーターが多いデスクではまずACWを下げることを当面の目標設定として採用することが多いです。
IVR
「Interactive Voice Response」の略で、自動音声システムのことを指します。
普通企業のサポートセンターに電話を架けると、まずは問い合わせ内容切り分けのための音声システムに繋がります。
宅急便業者などもそうですよね。
「集荷依頼の場合は1を、受け取り日時変更場合は2を、それ以外のお問い合わせの場合は3を押して下さい」というような自動音声が流れてきます。
コールセンター側からしたら、オペレーターの応対時間削減による業務効率化につながるのですが、ユーザー側からしたら長ければ長いほど面倒に感じてしまうというのが特徴です。
KPI
「Key Performance Indicator」の略で、「重要業績評価指標」という定訳があります。
「いくつかの大事な指標」くらいの意味です。
もともとはマーケティング業界において利用されてい
た用語ですが、近年ではコールセンター企業も好んでこの用語を使います。
受信系コールセンターにおける主要KPIとはたいてい、勤怠、CPH、顧客満足度、クロスセル(追加購入提案)です。
発信系コールセンターの場合は、勤怠、成約件数です。
どちらも「勤怠」が最も重要であることで共通しています。
まとめ)コールセンターの用語は、覚えたらどんどん使ってみること!
コールセンター産業の歴史はまだまだ浅いため、使用される用語は欧米から輸入したものを直接採用していることが多々あります。
しかし横文字だからといって毛嫌いせず、一つずつ確実に覚えていけば周りと差が付きやすいこともまた確かです。
さらに、その知識は覚えたらなるべく現場で使っていってみましょう。
将来別のコールセンターで働いたり、あるいは出世してクライアントと直接交渉するような場面に出くわした際には、共通語を持っている人間は圧倒的に強いです。
意見を伝えるために最も重要なことの一つは、簡潔に伝えることです。
だらだらと長ったらしい概念の説明や、当たり前の能書きを話して、冗長な印象を与えることを避けるに越したことはありません
知識の積み重ねこそ、人間の美徳です。