コールセンターというのはオペレーターと管理者で、業務内容が全く異なります。
他業種と最も異なる点というのは、コールセンターにおける「管理者」というのはいわゆる「管理職」ではなないといということでしょう。
SVにしてもLDにしてもそれは同様です。
コールセンターの「管理者」は厳密には、「役職」ではありません。
非正規雇用と正規雇用の違いによって、業務内容にも違いが生まれているという方が近いと言えます。
しかしだからこそ、その役割に期待されている中身を知ることで、あなた自身の労働効率を最大化させ、会社内における評価を上げていくことにもまた繋がっていきます。
企業組織内で出世するために最も重要なことの一つは、自分に課せられた役割全体を把握することです。
今回は、コールセンターデスクが管理者要員に求めていることを6つのポイントに分け、具体的にご紹介していきたいと思います。
理屈としては、この6点をきっちり抑えることさえできれば、次の役職は確実に見えてくると言っても過言ではないでしょう。
目次
充足管理
充足管理は、コールセンターの現場デスクにおける管理者業務の中で間違いなく最も重要なタスクです。
というのも、コールセンターの収益構造というのは、オペレーターの頭数にかかっているからです。
クライアントとコミットしている、時間当たりの充足値をパスすることができなければ、いくらオペレーターのパフォーマンスが良くとも、管理者の質が高くとも、採算を取ることは難しくなります。
コールセンター産業というのは、突き詰めて考えると、「人集め」の仕事です。
派遣会社との親和性が高いのも「人集め」を事業の根幹としている点で一致しているからです。
だからこそ、穴のないシフト作成や、欠勤したオペレーターのメンタル・フォロー、退職申告時のリテンションというのは、事業収益を安定化させる上で非常に重要視されるのです。
コールセンターの管理者となると、ついオペレーターに強気で接してしまいがち(私にも経験があります)ですが、実は彼らが事業にとって大切な商品であるという点を常に忘れないよう意識しなくてはなりません。
コールセンターの利益を生み出すのは、サービスや電話設備ではなく、実はその時間にきちんと着座してくれているオペレーターその人たちだからです。
各指標、数値の分析能力
コールセンターに限らずの話ですが、各指標(KPI)の分析能力は重要です。
オペレーター出身の管理者の場合、どうしてもコミュニケーション能力を下敷きにしたネゴシエーション・スキル一点突出型の管理者が多いですが、どこかの時点で数値に対応する力を身につけなくてはなりません。
コールセンター管理者に求められる数値への対応力というのは以下二点に分けられます。
1 PDCAサイクルの実行力
PDCAサイクルとは、改善の余地を持つ指標に対して、どういう施策を実行し、継続的に安定化させていくというビジネス上の方法論の一つです。
といっても難しいものではなく、要は論理的に問題解決に当たれるかどうか、という程度の意味合いでしょう。
問題が発生する度に、毎回オペレーターを叱りつけて解決の糸口を見つけるようなやり方をしないように注意しましょう、ということですね。
2 Excelスキルを始めとしたビジネス・ツールの習得
論理的に考えるためには、正確な数値把握は必須です。
そしてそのためには、Excel等を駆使して、過去データとの比較や、数字の整理ができなくてはいつまで経っても他人頼みのデスク管理になってしまいます。
まったく知らないことをゼロから学ぶというのは、なかなか心理的障壁が高い上に、時間もかかるものですが、今後のキャリアアップに必ず影響を及ぼすポイントでもあるので、早いうちに基本だけでもさくっと習得しておきましょう。
オペレーターの管理、、教育、フォロー
数値の分析能力と比べると、情緒的な要素が強く、コミュニケーション能力が高い人はあまり苦労しないのが、「オペレーター教育」に関わる業務です。
コールセンターはオペレーターが資本なので、管理者陣は常にこれらを効率的にこなすことを求められます。
普段の挨拶など、細かいコミュニケーションが重要な場面で意味を帯びてくるので、日常生活の心がけを常に見直す癖を付けたいですね。
特にオペレーター出身の管理者は、自分たちが経験をしているからこそ後続のオペレーターたちとコミュニケーションを取るのが得意な傾向にあります。
管理者陣(後輩)の育成
コールセンターの管理者と言えども、他業種に比べると、残念ながら離職率は高いです。
そのため、万が一あなたが辞めた場合、あるいはあなたの同僚が辞めた場合の補填要員を準備しておける人材というのは非常に希少価値を持ちます。
実は、大規模デスクで出世しやすいのも後輩の育成が上手いタイプです。
コールセンターの管理者というのは、個人の実績やパフォーマンスの過多を数値化しにくいので、意外と人事に関しては言ったもの勝ちの世界になってしまっていることが少なくありません。
きちんと自分が上位職に就いた後も、後輩の誰が後釜としてきちんと業務をこなせるかアナウンスできれば、ライバルとの差はある意味目に見えやすいと言えます。
コールセンター現場でのリアルタイム・フォロー
デスク内でのリアルタイムにおけるKPI低下を助けるためには、オペレーター業務を理解した管理者であり続けることは必須事項です。
最初から管理者で入社した人間も、オペレーターから管理者登用を受けた人間も、どうしても新しいオペレーター業務やトレンドとなっているオペレーション等を覚え続けるというのは辛い作業です。
しかしこれができるかどうかに、緊急時の現場KPIを安定化させられるかはかかっています。
常に必要とされるものではありませんが、必要なときは突然訪れます。
また数値の分析をするにあたっても、オペレーションの実態を知らなければ、机上の空論になってしまう恐れもあるため注意が必要です。
二次対応、クレーム対応などの上級オペレーター業務
主に、LD相当のレイヤーに求めれる業務です。
身も蓋もない言い方をすると、あなたがもしコールセンター内でのキャリアアップのみを就業する上での目的にしているなら、高いクレーム対応能力を持つ必要はありません。
というのも、高いクレーム対応能力を持つことで得られるメリットは以下二点だからです。
1 管理者間で一目置かれる
あなたが自分でクレーム対応を収束させることができなければ、多くの場合顧客はさらに上級職の者か、同職位の別の対応者への交代を要求します。
そうなると、必然的にあなたは便宜上とは言え、別の誰かに頭を下げて対応を代わってもらうことになります。
お金の貸し借りと同じで、目に見える上下関係が生まれるわけではありませんが、その度にデスク内におけるあなたの説得力が若干目減りしていくのは避けられないでしょう。
2 汎用性の高いスキルであるため、転職時にわかりやすいアピール材料になる
クレーム対応能力は、あなたがいざ転職活動をするときになると、絶好のアピール材料に変身を遂げます。
というのも、クレーム対応に似た状況というのは、どこの職場でも何らかの形で発生するため、中途半端なEXCELスキルや営業経験などよりも、専門的にクレーム対応の研修を受け、実践を重ねてきた人間の市場価値は高く評価される傾向にあります。
まとめ)6つの役割をバランスよくこなすことがキャリアアップへの近道!
コールセンターの管理者に求められている6つの役割というのは、どれかが大きく欠けると、途端にキャリアアップへの道は遠のいてしまいます。
そのため、常に自分に足りない資質を磨き続けるにあたって、求められている業務の全容を知ることは非常に重要です。
仕事をする上では、意外となかなか明文化されることはありませんが、コールセンターの管理者に求められているのはこの6点の他にはないと言っても良いでしょう。
とにかくこの記事にある資質をどういった形でも、一応最低限は全て持ち合わせているという状況を作ることができれば、デスク内におけるあなたの見え方はすぐにでも変わっていくでしょう。
コールセンターでのキャリアアップのためには、くれぐれも一点豪華主義の、能力バランスの偏った扱いづらい人間にだけはならないようにすることが重要です。