同じ仕事をしていても、なぜか電話の時間が異様に長いオペレーターがいます。
彼は何をしているのか?
さぼっているわけでもなく、クレーム対応ばかりしているわけでもありません。
ただ、一所懸命に説明しているのに、話し方がわかりにくいゆえに、なかなかお客様が納得してくれないのです。
今回は、誰もが不安を持っているコールセンターのトークスキルを5つのポイントに分けてご紹介していきます。
目次
コールセンターでは、「合意形成」を侮るなかれ!
「合意形成」とは、提示されている論題を、相手と自分が双方ともに理解しているということを指します。
つまり、お客様がAの話を聞いているのに、自分は一所懸命Bの話をしていてはいけないということです。
あまりにも当然の話で、そんなことが起こるなんてにわかには信じ難いかもしれませんが、こういった事例はどこのコールセンターでも毎日ごまんと発生しています。
コールセンターの対応というのは、顔を見ずに対応をしなければなりません。相手の顔を見ることができないため、自分が話していることを理解してもらえているかの判断が非常に難しくなります。
人間は五感から受け取る情報のうち、視覚情報を最も重要視するとされていますが、普段の生活で声だけで相手の考えていることを想像する機会がなかなかないというのも一つの要因かもしれませんね。
また、お客様の情報が100%正確ではないというパターンも数多く存在しています。部品の名前を憶え間違えていたり、サービスの内容を誤解していたり、ということは茶飯事です。
更に言えば、情報が最初から全て出てこないということまであります。
というのも、冒頭で全ての情報を出すのではなく、自分の知りたいことを少しずつ順番に聞きたいという方が中にはいるからです。そういった場合、どういう意図で質問がなされているのかがわからず、自分の頭のなかで細部を補いながら答えていったところ、最終的な目的を聞かされて、全然的外れなことばかり話していた、となることもあります。
さて、そういった状況を避けるために何が必要なのかと言うと、冒頭の「合意形成」です。
まず電話が入ってきて、要件を伺ったら、それと一緒に最終的な目的/意図を確認します。そして自分の認識している質問が、お客様の問いかけている内容と一致しているか擦り合わせを行います。
一見したところ、余計な時間がかかってしまうだけのように思えるかもしれませんが、それもそのはず、これは時短術ではなく、リスク回避術だからです。
オペレーター業務における重要なミッションは、なるべく短時間で対応を終わらせることはでなく、過度な長時間対応を作らないことです。
だからこそ、勘違いで余計な時間を消費してしまうリスクを考えれば、最初の段階で双方に認識の相違がないかを確認しておくことが大切なのです。
そして高い応対実績を持つオペレーターほど、この「合意形成」を自然に行います。
簡単な言葉で説明できること、できないこと
トークスキルを語る上で最も重要なことの一つは、相手のわからない言い回しや専門用語を使わないということです。
難しい言葉や、知らない専門用語が出てきたら、それだけで思考停止になってしまい、その後の話が頭に入ってこなくなります。
難しい話ほど、簡単に説明することが、顧客満足度を高めるコツの一つです。
しかし、お客様の中には、自分のリテラシーの範囲では、理解し得ないサービスや商品概念について質問をされる方もいます。簡単な言葉を使えば、どうにかなるという次元を超えているものですね。
そういった場合には、思い切って「この電話窓口ではお伝えできる内容に限りがあるので、直接対面で話せる窓口か、図解で説明しているホームページをご覧頂いた方がわかりやすいかもしれません」と切り出してみるのもいいでしょう。
聞き上手は説明上手?
トークスキルとは、話すことだけではありません。
お客様があなたの話を聞こうとしなければ、いくら素晴らしいトークも発揮のしようがありません。
ではどうするかと言って、聞き上手にならなくてはいけないのです。
コールセンターにおける聞き上手とは、「相槌」と「復唱」が上手いことを指します。
慣れてくれば、「相槌」と「復唱」だけでほとんどこちらが何も話さず対応が終わることも出てきます。
つまり、「何に対して」相槌をし、「どの部分を」切り取って復唱するのかが重要だということです。
お客様も自分自身で質問したい内容を整理できていなかったり、実は購入したい商品が決まっていなかったりすることも多々あります。
そんなとき、お客様が話す内容に対し、誘導していきたい台詞が出てきたときや、話の流れになったら積極的に相槌と復唱をするのです。共感を示すのも効果的です。
意外かもしれませんが、たったこれだけのことで、話というのは想像以上に迅速に進みます。また、お客様も無理強いされるより、「自分で考えて出した結論」という印象が強いため、反発を招くことも少なくなります。
トークスキルの基本は、正しい敬語
オペレーター業務と正しい日本語というのは最早セットと言っても過言ではありません。
正しい敬語、正しい日本語を使えないと失礼な印象を与えるだけではなく、不用意に話が長引きます。
代表的な例が「語尾濁し」です。
「〇〇というふうにお願いしたいんですが……」と語尾を濁してお願いしても、なんだか弱弱しい印象を受けませんか?
「お手数ですが、〇〇とうふうにお願いしたいと思います」とはっきり話すことができれば、主張や交渉もスムーズに進みます。
正確な敬語が使えれば、毅然としていながらも礼儀にかなった印象を与えることが可能なのです。
笑顔が引き出すある効果
あれこれ言っても、最大のトークスキルは「笑顔」です。
これに勝るものはないです。
どれだけ話が上手かろうと、こちらに有利な条件が揃っていようと、コールセンター業務も客商売です。笑顔がなければ、それだけで自分自身の応対クレームに繋がってしまいかねません。
あなたが悪くなくとも、「あなたの話し方が気に入らないから上司に代わって欲しい」と言われてしまったら、オペレーターとしてはどうしようもなくなってしまうからです。
また笑顔は電話対応では、自信を持っているような印象を与えます。
必死に対応してくれるオペレーターにも、もちろん交換は持てますが、笑顔が声からわかるオペレーターはそれだけの余裕を持っているように感じてしまうのですね。
大したことない回答や、意外な結果だったとしても、「企業の窓口の人間が笑顔とともに話すのだから、きっとそういうものなんだろう」と妙に納得してしまうという状況に繋がりやすいです。
まとめ)まずは「合意形成」から始めてみる!
以上が「【すぐ使える!】コールセンターで必要不可欠なトークスキル5選!」ですが、いかがでしたでしょうか?
トークスキルで困る人とというのは、何か劇的に話し方の構造を見直すというよりは、まずは「合意形成」が取れているかを確認することから始めていくのがいいでしょう。
商品知識がないことは仕方ないにしても、お客様の質問がわかっていないのは、さすがに言い訳がききません。
当然ながら、注意深く話を進めていくことを意識すれば、誰もが明日から実践できることです。
ファイト!