社会人になってから、きちんと有給休暇について教えてもらったことがあるという人が一体どれほどいるでしょうか?
なんとなく会社側の慣例に従ってや、コールセンターの正社員管理者の指示に従ってという方がほとんどというのが実態です。
そもそも非正規雇用の場合には、福利厚生について学ぶ機会が少なく、また積極的な取得を奨励されていることも多くはありません。
今回は、コールセンターにおいていかにして有給を取得していくかについて紹介していきます。
自分を守るのは自分だけです。しっかり労務知識を付けて、過ごしやすい就業環境を作っていきましょう!
目次
有給休暇(有給)の定義
有給休暇とは?
有給休暇とは、従業員が日々の労働によるストレス環境からリフレッシュさせるための精度として作られました。
働いていなくても、その日の分の給料を支払い、生活費の心配をせずに休めるようにしようという仕組みです。
本来であれば、精神的または肉体的な負荷が大きくなりすぎる前に、通常の休日意外に心身を休め、長期的な労働力と個人の健康を確保するためのものでしたが、残念ながら、日本の有給取得率は未だに48%程度であり、世界的に見ても低い水準にあります。
付与条件
有給を取得できる条件は、下記二点であると厚生労働省が定めています。
・雇い入れの日から6ヶ月経過していること
・その期間の全労働日の8割以上出勤したこと
これらを満たせば、アルバイトであっても、パート、派遣社員、契約社員、正社員等の雇用形態に問わず有給の取得が可能になります。
それ以降は、1年ごとの付与です。入社月から数えて、半年後、1年半後、2年半後、3年半後、と続いていきます。
付与日数
付与日数についても厚生労働省が定めた基準があり、フルタイムでの就業の場合、6ヶ月で10日、1年半後で11日、というように入社月から6年半が経過するまでは少しずつ不定供養になっています。
しかし、時短勤務の労働者が有給を与えられないわけではなく、あくまで契約時間に比例して付与される日数は決まります。
溜めすぎに注意!
なんだかどこぞのポイントカード規約みたいな話ですが、有給には実は有効期限があります。
法律では、付与されてから2年以上過ぎた場合は、時効消滅すると定義されていますので、注意が必要です。
勤怠評価に影響を及ぼさない
コールセンターにおいてオペレーターで就業する場合、雇用形態としては派遣社員や契約社員がほとんどになるため、そういった立場からすると最も怖いのは契約更新ができないことです。
しかし有給休暇での休んだ場合は、勤怠評価に「欠勤」として記録されないため、これを理由に契約更新を拒否することは労務上できないようになっています。
もちろん、寝坊したり二日酔いになるたびに有給を使っていたら、小言の一つも言われるかもしれませんが、労務上は立派な労働者の権利であるため、ためらいを持つ必要はありません。
コールセンターにおいて推奨されている有給の取り方
コールセンター、特にインバウンド(受信)事業においては、時間ごとに決められたオペレーターの頭数をそろえることが、非常に重要な運営指標になっています。
したがって、コールセンターというのは直前の有給取得予告を嫌います。
当日になっての有給取得宣言も同様ですね。
なぜなら、労働者であるオペレーター側からしたら給料が出るうえに勤怠査定に関わらないので、有給を使うことに何のデメリットもありませんが、コールセンターのデスク側からしたら、運営状況に穴が開いてしまうため、急いで補填要員を探さなければならなくなるからです。
特に当日の朝になって、ちょっと風邪をひいたという人が欠勤希望なら、なんとか出勤させて途中でどうしても我慢できなくなったら早退にしてみないか等、いくらでもやりようはありますが、有給利用者が大量に発生してしまったらどうすることもできません。
休みの日のオペレーターに端から連絡して、休日出勤を依頼したり、デスク管理者をオペレーター業務に回したりしてしのぎます。
推奨される有給の取り方としては、通常一ヶ月程度前に申請をしておくというやり方です。
特にシフト制のデスクであれば、希望休日設定の受付期限が前月にあるはずなので、そのタイミングまでに希望有給取得日を決めて報告しておくのが望ましいと言えます。
そうしておけば、デスク側としても、日ごとの出勤人数を事前に整えながらシフト作成ができるので、余計な気を揉まなくて済むでしょう。
果たして、当日有給は“だめ”なのか?
たしかに仕組みとしては、直前になってからや当日の有給申請はデスクに負担をかけることになります。しかし当然ながら、有給制度もあくまで労働者の権利です。
いくら会社がいつまでに「申請して欲しい云々」と言ったところで、それは会社がどういう事業を選んだかとか、どういう仕組みでビジネスモデルを組んでいるかという、会社側の都合に過ぎません。
大前提として労働基準法が、労働者が利用できる権利として定めたのは、昨日今日の話ではありません。
ほとんどの会社が生まれる前からあった制度にも関わらず、「コールセンター業務の場合は……」なんて言うのは完全にお門違いで、屁理屈以外のなんでもないでしょう。
一日前であろうと、当日であろうと、もし取りたいと思えば、遠慮なく言えばいいのです。
もちろんコールセンターごとに、推奨されているルールが必ずあるはずなので、可能な限りはそれに則って申請するのが好ましいことは言うまでもありませんが、どうしてもそこから外れてしまう場合は、我慢する必要はありません。
「みんなそうしているから」とか、「ルールで決まっているから」とか、もっともらしい理由付けを聞かされることもあるかもしれませんが、そこで折れてしまうのは明らかに誤った忖度です。
突然実家から家族が上京してきたり、突発的に風邪をひいてしまったり等、直前や当日になって出勤が難しくなる状況が発生することは誰にでもあります。
そこで欠勤扱いにしてしまうと、給料も入らなくなるうえに、勤怠評価まで下がってしまいます。
あるいは逆に出勤することで、健康面で無理をしたり、余計に心労を溜め込むことにもなりかねません。
そもそもは、そういったことを防ぐ意味で作られた制度でもあるので、必要に応じて使っていくのは悪いことでもなんでもないのです。
直接雇用時に未消化だった派遣会社分の有給はどこへ行くのか?
現在では、「紹介予定派遣」等により、派遣社員として就業していても、一定期間後に直接雇用となることが少なくありません。
その場合、有給休暇の計算はどうなるのかというのは、非常に気がかりなポイントだと思います。
結論から言うと、労働基準法では、派遣就業から調節雇用に切り替わる際の有給休暇を引き継ぐようには義務付けられていません。
つまり、会社によっては、派遣就業開始時期から有給付与タイミングや日数、また未消化分の有給を引き継いでくれることもありますが、あくまで内規で定められているものであるため、会社側が引き継ぎをすると言えばしてくれますし、引継ぎしないと言えば交渉の余地はありません。
なぜなら、派遣労働者というのは、派遣先の企業に勤めているのではなく、派遣元の企業に勤めながら派遣先の企業の業務を行っているという扱いになるため、福利厚生の取得や管理については、派遣元の企業に依存することになるからです。
労務上は「直接雇用するからといって、前の会社に勤めていた分の福利厚生をそのまま全て引き継ぐことはできない」という主張が通るのです。
もし切り替え時に、未消化の有給が残っていて、直接雇用先が引き継いでくれないのであれば、派遣元で消化をするか、派遣元に買い取りをしてもらえないか交渉をするというのが一般的な対処方法になります。
連続して有給を取った後にやった方が良い二つのポイント!
できればお土産を持ってい行く
有給を利用しての連休を取りにくいという理由の上位を占めるのが、「会社も暇ではないので、自分が休むと同僚が苦労をしてしまうため」というのがあります。
そういった負い目を少しでも軽減するには、やはり単純にお菓子などのお土産を買っていって、「連休ありがとうございました」とお礼を言っておくのが一番安全です。
もちろん人間ですから、有給は取って当然、取った人間が悪いのではなく、ぎりぎりに人件費を抑えている経営側の責任であるというのは腹の底ではわかっているはずですが、どうしてもその原因を休んだ人に向けてしまうこともなくはないかもしれません。
そういったことを見越して、クッキーのひと箱でも持って行っておけば、人間関係も比較的円滑に進めることができるというものです。
コールセンターの場合は、勤怠管理を行っているSVや、ブース数調整を行っているSVに渡してみんなで食べてもらうように言い添えるのが、スマートなやり方です。
休みの間に変化はなかったかの確認
業務における引き継ぎ等は、やはり話好きの人たちが集まるコールセンターだけに、オフィシャルではないものの何かしら知っておいた方が好ましいニュースや噂が回っている可能性があります。
そういうことに一切興味がなく、無関係に仕事に取り組める環境を自身で作れているのであれば問題ありませんが、そうではない場合は、連休があけてしばらくの間は、親交を温めなおすという意味も込めて、自分がいなかった間に起こったことがなかったか聞いておくことをおすすめします。
まとめ)有給は遠慮せずに取るべき!
以上が「【保存版】コールセンターにおける有給の取り方完全マニュアル」でしたが、いかがでしたでしょうか?
ちなみに私は、コールセンターに入るまで、有給というもの自体が存在することを知らず、使ったことがありませんでした。
そしてなかなか会社側というのはどこでも、労働者側に立って有給の使い方を押してくれないので、最初のうちは上手く使えているとは言えなかったかもしれません。
自分が心身共に健康で、気持ちよく働いていくためには、福利厚生をきちんと把握し、使いこなせるようになるに越したことはありません。
もし今、未消化分が相当あると言う場合には、計画的に使えるように考えていくのがいいでしょう。