コールセンター産業が活発な三大都市といえば、東京・札幌・博多です。
だからこそ、コールセンターと「方言・訛り」問題というのは切っても切れない関係にあります。
たしかに、一般的なコールセンター・マニュアルでは、とにかく標準語で誰にでもわかる平易な言葉遣いを目指すように、入社時の研修等で教育をしています。
しかしながら、地方出身者がイントネーションをすぐに標準語に寄せられるかというと、実際には限界があります。
しかし、案外敬語で話す際には、かなり標準語で近い話し方をしているものです。実のところ地方出身のオペレーターが意識すべきは、「標準語」ではなく、「敬語」です。
現代の日本人は、テレビやラジオ、YouTubeから敬語のイントネーションを学ぶことが多いため、実は敬語を使うシチュエーションに置かれたらほとんどを標準語で話すことができるポテンシャルをすでに身につけているのです。
今回はオペレーターがいかにして方言や訛りに注目を集めずに、就業していくこつを紹介していきます。
目次
方言や訛りの本質は、「語彙」に有!
地方出身者は主に、日常会話の中で、方言や訛りをその語彙として利用します。
「~するで(するよ)」、「~やで(だよ)」、「~やなあ(だね)」、「わからん(わからない)」、「さら(新しい)」というのは、テレビでもよく耳にする関西弁の方言・訛りです。()の中が標準語にした際の意味です。
見ての通り、これらはいわゆるタメ口です。
方言や訛りというのは、生まれた時からずっと使ってきた言葉遣いであるため、すぐに改善するのは難しいのですが、それは主に日常生活の中に限られた話です。
厳密に言うと、尊敬語や謙譲語で話すということは、そこには方言の語彙等が入り込む余地はありません。
まして日常生活の中では、そんなに頻繁に耳にする話し方ではありません。
私たちが言葉を学ぶときにそうであったように、方言というのもイントネーションのルールや表音記号で覚えたわけではありません。
それは敬語も同様で、私たちは耳にした音をもとにその言葉を話すようになるのです。
テレビやYouTubeから聞こえてくる尊敬語や敬語は、そのままのアクセントとイントネーションで私たちの脳にインプットされています。
必然的にアウトプットしようとするときにも、無意識のうちに同じアクセントとイントネーションを再現しようとします。
無理に標準語に寄せようとするのではなく、尊敬語と謙譲語を正しく使うことに気を付けさえしたら、概ねにおいて間違った話し方にはならないものです。
地方のコールセンターでは、イントネーションが非標準語になっている
オペレーター業務において最も大切なことは、伝えることです。仕事の性質上、伝えたいことを正確に伝えられるかどうかが一番重要視されます。
次に大切なのが、ホスピタリティ(音声表現)です。
ホスピタリティとは、お客様が話した内容に対して、共感やお詫びの意を込めた音声表現ができるかどうかということです。
どれだけきれいな標準語で話せたところで、棒読みのように抑揚の欠けた口調では、なかなか仕事は務まりません。
そしてこの音声表現部分というのは、多少イントネーションに癖があっても、その人の気持ちが伝わるように抑揚が生まれていれば気にする人はいません。
重要なのは、正確に情報を伝えること、正確に気持ちを伝えることです。
そういう意味では、地方のコールセンターのオペレーターは、イントネーションを過度に意識することは少ないようです。
もしコールセンターに電話問い合わせする機会があれば、どこの拠点に繋がったか聞いてみてもいいかもしれません。日本では人件費削減のために、東京以外にコールセンターがとても多いので、札幌や博多などのオペレーターと話す機会が必ずあるはずです。
そのとき、彼らは完璧な標準語を話すでしょうか?
私の経験から言えば、必ずしもそうではなかったです。
しかし、社内研修と管理者による品質維持業務によって、尊敬語と謙譲語を正しく使い、気持ちを込めた話し方ができていれば、ちょっと訛っているくらいならそもそも気付かなかったりします。まして不愉快に感じるということはないでしょう。
コールセンターのオペレーターだって、地方の拠点なら、手本にする話し方もなかなか見つけにくいので、だいたいちょっとくらいは非標準語のイントネーションで話しています。
対応中、お客様に「方言・訛り」は指摘されないものなのか?
お客様から「方言・訛り」が不愉快であると指摘を受け、クレームに繋がったりすることは通常ありません。
面白い例でいうと、関西出身のオペレーターが若干関西弁寄りのイントネーションで話していて、関西の拠点かと聞かれていたことを知っています。
コールセンターの世間一般の認識で言うと、やはり地方のコールセンターはその土地のイントネーションが入っていて当然と考える人もいるようです。
しかし実際には、「方言・訛り」を指摘するお客様はほとんどゼロと言っていいほど存在しません。私たちが自分で考えているほど、細かなイントネーションを気にする人はいないものです。
もし言葉遣いが原因で応対クレームになっているとしたら、それは敬語が不十分であったとか、十分お客様の立場に立ってお困りごとに共感する音声表現ができていなかったということがほとんどです。
お客様は自分たちに寄り添いながら、正確な情報を押してほしいという希望のみを持っています。
その世界においては、「イントネーションが云々」というのが入り込む余地はありません。
それでも方言や訛りを抜きにして話せないなら、「シャドーイング」がおすすめ!
それでも方言や訛りのイントネーションが自分でどうしても気になって仕方ないというあなたには、「シャドーイング」をおすすめします。
意識していても、方言や訛りがどうしても抜けない原因は、耳で聞いた音声を再現する能力がこれまでの人生で十分培われていないか、あるいはあまりに敬語を話す機会が少なかったかのどちらかです。
「シャドーイング」とは、外国語通訳者が同時通訳の技術を磨くためのトレーニング方法です。
標準語で話す音声を聞きながら、それを真似して発生するというもので、影が追いかけるように言葉を繰り返していくことが名前の由来になったようです。
一度聞いたことがある音声等をスクリプトを見ながら発生するのではなく、音声を耳で聞きながら即時的に、音声の再現をしていくことで、知識ではなく、身体で記憶することができます。
これはコールセンターのオペレーター業務と非常に相性がいい練習方法で、特に標準語のイントネーションを掴むためには絶大な効果を発揮します。
音声は何を選んでもいいのですが、手に入りやすい音源としては、最近であればお気に入りのYouTuberの動画を観る際に、話している内容を同時に繰り返しているだけで、数日もすれば自然に自分の口から標準語のイントネーションがすらすら出てくるようになるでしょう。
お客様が自分の地方の出身なら、「方言・訛り」で話すべき?
お客様が地方の方で、特に高齢の方の場合、つい情にほだされて、こちらも同じ「方言・訛り」を使って話してあげたい誘惑にかられてしまいますが、私は基本的にはおすすめしません。
というのも、何度も述べてきた通り、「方言・訛り」は、タメ口表現をベースとした口語であるため、いくら仲良くなったとしても接客中に、敬語を崩すべきではありません。
あくまで個人として対応しているわけではなく、窓口の一担当者として業務にあたっているわけですから、親密な気持ちが生まれたとしても、それは適切な抑揚をつけた音声表現であったり、お伝えする情報の質で応えるのが望ましいと言えます。
また現実的なお話をすると、オペレーターが地元の同じお客様に「方言・訛り」で話しかけて応対クレームになるのをは私は何度も見てきていますお客様からすると、やはりときには自分が雑に扱われているのような印象を受ける場合もあるようです。
まとめ)コールセンターで働くにあたっては、「標準語」ではなく、「敬語」を意識すべき!
以上が「地方出身者がコールセンターで働くための、方言や訛りの裏話」でしたが、いかがでしたでしょうか?
コールセンターで重要なのは、一に正確な情報伝達、次にホスピタリティ(親身な音声表現)です。
そういった意味では、本質的には非標準語圏のイントネーションが入っていたとしても、それはあまり大きな問題ではないのです。
また地方出身者が敬語になると9割の人間がおおむね標準語のイントネーションで話すようになるというデータもあります。
意外な話ではありますが、イントネーションに関する悩みというのは、実はその多くが取り越し苦労のようです。